緑内障の治療
緑内障治療:レーザー治療の全貌
はじめに
こんにちは、おおるり眼科クリニックの鈴木徹です。今回は緑内障治療におけるレーザー治療について詳しく解説します。緑内障は眼圧が上昇し、視神経にダメージを与える病気で、早期発見と治療が重要です。特にレーザー治療は、緑内障の進行を防ぐ効果的な方法です。
レーザー治療の種類:緑内障治療に使用されるレーザー治療には、以下の4種類があります。
1. レーザー虹彩切開術(Laser Iridotomy)
概要:
レーザー虹彩切開術は、虹彩に小さな穴を開けることで、眼内液(房水)の流れを改善し、眼圧を下げる治療法です。この治療は、急性閉塞隅角緑内障の予防や治療に有効です。
手順:
- レーザーを虹彩に当て、1ヶ所に小さな穴を開けます。
- これにより、虹彩の後ろに溜まった房水が前方に流れやすくなり、眼圧の上昇を防ぎます。
適応:
- 閉塞隅角緑内障
- 狭隅角
- プラトー虹彩
- 急性閉塞隅角症
レーザー虹彩切開術の詳細
レーザー虹彩切開術(Laser Iridotomy)は、眼内の房水の流れを改善するために虹彩に小さな穴を開ける手術です。この手術は、特に急性閉塞隅角症の患者さんに対して非常に効果的です。虹彩に穴を開けることで、眼内の圧力を緩和し、眼圧を下げる効果があります。レーザー虹彩切開術は、狭隅角症や他のタイプの緑内障患者さんにも使用されることがあります。
この治療法は、患者さんの視力を維持し、緑内障による視神経の損傷を防ぐための重要な手段です。レーザー虹彩切開術は、眼科クリニックで日帰り手術として行われることが多く、比較的短時間で完了します。手術後、患者さんは一時的な視力のぼやけや軽度の不快感を感じることがありますが、これらの症状は通常、数日以内に改善します。
レーザー虹彩切開術は、患者さんの視力を守り、緑内障の進行を遅らせるための重要な治療法です。定期的な眼科検診を受けることで、早期に閉塞隅角や狭隅角を発見し、適切な治療(レーザー虹彩切開術等)を受けることができます。
2. レーザー隅角形成術(Laser Peripheral Iridoplasty)
概要:
レーザー隅角形成術は、虹彩の収縮を促し、隅角を広げることで房水の流れを改善する治療法です。
手順:
- レーザーを虹彩の周辺に当て、虹彩を収縮させます。
- これにより、隅角が広がり、房水の排出がスムーズになります。
適応:
- 閉塞隅角緑内障
- 狭隅角
- 急性閉塞隅角症
- プラトー虹彩
レーザー隅角形成術の詳細
レーザー隅角形成術(Laser Peripheral Iridoplasty)は、虹彩の一部を収縮させることで隅角を広げ、房水の流れを改善する手術です。この治療法は、特に閉塞隅角緑内障患者さんに対して効果的で、急性閉塞隅角症の発作を防ぐためにも使用されることがあります。
レーザー隅角形成術は、比較的短時間で行われる手術であり、患者さんは手術後すぐに日常生活に戻ることができます。手術後に一時的な不快感や軽度の視力のぼやけが生じることがありますが、これらの症状は通常、数日以内に改善します。
レーザー隅角形成術は、緑内障の進行を遅らせたり、緑内障発作の予防に役立ち、視力を守るための重要な治療法です。定期的な眼科検診を受けることで、早期に緑内障を発見し、適切な治療を受けることができます。
3. レーザー線維柱帯形成術(Laser Trabeculoplasty)
概要:
レーザー線維柱帯形成術は、房水の排出を促進するために線維柱帯にレーザーを当てる治療法です。
手順:
- レーザーを線維柱帯に当て、房水の流れを改善します。
- これにより、眼圧が下がります。
種類:
- アルゴンレーザー線維柱帯形成術(ALT)
- 選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)
適応:
- 開放隅角緑内障
レーザー線維柱帯形成術の詳細
レーザー線維柱帯形成術(Laser Trabeculoplasty)は、線維柱帯にレーザーを当てることで房水の排出を促進し、眼圧を下げる手術です。この治療法は、特に開放隅角緑内障患者さんに対して効果的です。
レーザー線維柱帯形成術には、アルゴンレーザー線維柱帯形成術(ALT)と選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の二つの方法があります。ALTは、線維柱帯にレーザーを当てることで房水の流れを改善し、眼圧を下げる手術です。SLTは、特定の細胞にのみレーザーを当てることでフィルターのつまりを解消し、眼圧を下げる方法です。
レーザー線維柱帯形成術は、比較的短時間で行われる手術であり、患者さんは手術後すぐに日常生活に戻ることができます。手術後に一時的な不快感や軽度の視力のぼやけが生じることがありますが、これらの症状は通常、数日以内に改善します。
4.毛様体レーザー
- 連続発振
- マイクロパルス波
概要:
- 連続発振:毛様体にダメージを加えることで房水の産生を抑制し眼圧を下げる方法ですが、毛様体への侵襲が大きいため、ほとんど行われません。
- マイクロパルス波:毛様体扁平部の細胞を刺激する事でぶどう膜・強膜流出路からの房水流出を促進することで眼圧を下げます。
手順:
- マイクロパルス波:専用のブローブを強膜に当てて、毛様体凝固を行う
適応:
緑内障治療に対する補足的役割
レーザー治療のメリットとデメリット
メリット
- 非侵襲的であり、外来で行える
- 治療時間が短く、回復も早い
- 手術に比べて合併症が少ない
レーザー治療のメリットの詳細
レーザー治療のメリットの一つは、非侵襲的であることです。これにより、手術によるリスクが少なくなります。レーザー治療は、通常外来で行われ、患者さんは手術後すぐに日常生活に戻ることができます。治療時間が短く、回復も早いため、患者さんにとって負担が少ないです。
また、レーザー治療は、手術に比べて合併症が少ないこともメリットです。薬物治療では、長期間にわたって薬を使用する必要があり、副作用のリスクがありますが、レーザー治療を併用することで点眼薬を減らしたり、より大きな効果を得ることができます。
デメリット
- 効果が一時的である場合がある
- 特殊な機械や技術が必要
- 一部の患者さんには適応できない場合がある
レーザー治療のデメリットの詳細
レーザー治療のデメリットの一つは、効果が一時的である場合があることです。手術後、一定期間が経過すると、再び眼圧が上昇することがあります。そのため、定期的な検診とフォローアップが必要です。
また、レーザー治療は特殊な機械や技術が必要であるため、すべての医療機関で受けることができるわけではありません。高度な技術と経験を持つ専門医による治療が求められます。
さらに、一部の患者さんにはレーザー治療が適応できない場合があります。緑内障の種類や進行状況、患者さんの個々の状態によって、適切な治療法が異なるため、専門医の診断と相談が重要です。
さいごに
緑内障の早期発見の重要性
緑内障は、視力に深刻な影響を与える病気です。初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な眼科検診が非常に重要です。特に40歳以上の方や緑内障の家族歴がある方は、年に一度の検診を受けることが推奨されます。早期発見により、適切な治療を開始することで、視力の低下を防ぐことができます。
最新のレーザー治療技術
おおるり眼科クリニックでは、紹介したうちのいくつかのレーザー治療技術を導入しています。レーザー治療は外科手術に比べて侵襲性が低く、短時間で治療することができます。
緑内障患者さんへのアドバイス
緑内障患者さんには、以下の点を心掛けることが重要です。
- 定期検診を受ける: 定期的な検診で眼圧をチェックし、異常があれば早期に治療を開始します。
- 適切な治療を受ける: 専門医の指示に従い、適切な治療を受けることが視力を守る鍵です。
- 生活習慣を見直す: 喫煙や過度なアルコール摂取は緑内障に悪影響を与えるため、生活習慣の見直しが必要です。
- 眼科専門医とのコミュニケーションを大切にする: 不安や疑問がある場合は、眼科専門医に相談し、安心して治療を受けることが大切です。
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まとめ
レーザー治療は、緑内障治療の重要な選択肢の一つです。適切な治療を選択するためには、専門医の診断と相談が必要です。おおるり眼科クリニックでは、カールツァイス社製のレーザー治療機器を用い、患者さんの眼圧管理をサポートしています。緑内障の早期発見と適切な治療を行うことで、視力の低下を防ぎ、生活の質を維持することが可能です。
執筆 おおるり眼科クリニック 院長鈴木徹
参考文献
- 日本眼科学会
- 緑内障治療ガイドライン
- おおるり眼科クリニック公式サイト