眼底検査・OCT検査で何がわかる?ーおおるり眼科クリニック スタッフ研修よりー
眼底検査・OCT検査で何がわかる?|島田市 おおるり眼科クリニック(スタッフ研修レポート)
「眼底検査って何を見ているの?」「OCT検査では何がわかるの?」——島田市で眼科をお探しの方から、こうしたご質問をいただくことがあります。
眼底写真やOCT検査は、視力に大きく影響する病気の早期発見や、治療方針を決めるうえで欠かせない検査です。
今回は、おおるり眼科クリニックの視能訓練士・滝が学んだ「眼科スタッフが知っておくべき眼底画像検査」の内容を患者さんにも読みやすい形でご紹介します。
患者さんに先にお伝えしたいこと(眼底検査・OCT検査の位置づけ)
ポイント(患者さん向け)
- 眼底検査(眼底写真)は、目の奥(網膜・視神経など)の状態を画像で確認する検査です。
- OCT検査は、網膜などを断層(輪切り)のように撮影し、むくみや出血などの変化を詳しく捉える検査です。
- 検査画像は、診断や治療方針の重要な判断材料になります。

OCT検査では、目の奥の構造を断層で確認することができます。
以下では、スタッフ研修で学んだ内容をテーマごとに分かりやすく整理してご紹介します。
【スタッフ研修レポート】眼科スタッフが知っておくべき眼底画像検査
代表的な眼底疾患
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは:目の中心で物を見るために重要な黄斑という部分に変化が起こり、見たいところが歪んだり、暗く見えたりする病気です。
病気の特徴
- 目の中心にある黄斑に異常が起こり、見え方に影響が出ます
- 物が歪んで見えたり、中心が暗く見えたりすることがあります
- 加齢とともに発症リスクが高くなります
症状(自覚症状)
- 直線がゆがんで見える
- 物の中心部分が暗く見える
病気の進み方と影響
年を重ねることで、誰でも発症する可能性がある病気です。
視力の悪化や失明は、日常生活の質(QOL)の低下と密接に関係します。
患者数と近年の動向
加齢黄斑変性の患者数は、1998年から2007年の10年間で約1.9倍に増加したと報告されています。
2024年のガイドラインでは、従来の「滲出型」という分類から、新生血管型(MNV)という考え方へ整理され、脈絡膜の厚み(パキコロイド)も重要な評価ポイントとして重視されるようになりました。
ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)
ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)とは:目の奥の血管にこぶのようなふくらみ(ポリープ状の変化)ができ、出血を起こすことがある病気です。加齢黄斑変性の一つのタイプとして考えられています。
病気の特徴
- 異常な血管の集まりの先端が、ポリープ状(こぶのような形)に膨らむことが特徴です
- 場合によっては、大きな出血(血腫)を生じることもあります
病気の進み方
進行は比較的ゆっくりなことが多い一方で、突然、出血によって視力が大きく低下することがあるため、注意が必要な病気です。
眼底写真で見られる所見(眼底)
- 眼底写真では、橙赤色に盛り上がった病変が見られることがあります
- 色素の下や網膜の下の出血と見分ける必要があるため、鮮明な眼底写真が重要になります
OCT検査でわかる主な変化
- こぶのように盛り上がった病変が見られることがあります
- 網膜の下の層が、急に持ち上がったように見えることがあります
- 通常とは異なる血管の集まりが確認されることがあります
- 血管の層が重なって見えるような所見が出ることがあります
- 目の奥の層が、やや厚く見えることがあります
網膜血管腫状増殖(RAP)
網膜血管腫状増殖(RAP)とは:網膜内に侵入した新生血管を持つ加齢黄斑変性で、3型MNVと呼ばれます。※網膜(目の奥で、光を感じて「見る」働きをする薄い膜)
病気の特徴
- RAPは、網膜の中に新しい血管(新生血管)が入り込むタイプの加齢黄斑変性です
- 臨床的には、高齢女性に多いとされています
- 両眼にみられることがあります
臨床所見(見られやすい特徴)
- 網膜出血
- 目の奥に、小さな老廃物のようなもの(ドルーゼン)が多く見られます
- 網膜浮腫
- 網膜色素上皮剥離
病気の進み方
進行が速く、視力が大きく低下することがあるため、注意が必要な病気です。
OCT検査でわかる主な変化
- 網膜の下の膜が一部途切れ、段差や盛り上がりができているように見えることがあります
- 網膜の中に、本来は見られない新しい血管が確認されることがあります
- 網膜に水分がたまり、むくんで見えることがあります
- 網膜の下の層がはがれたように見える所見が出ることがあります
- 目の奥の層が、全体的に薄く見えることがあります
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症とは:糖尿病によって目の奥にある網膜の血管が傷つき、出血やむくみを起こすことで、視力に影響が出る病気です。
病気の特徴
- 糖尿病が長く続くことで、網膜の細い血管が傷つきます
- 初期には自覚症状がほとんどありません
- 進行すると、視力低下や失明につながることがあります
病気の進み方
- 初期:網膜の血管に小さな異常が出るが、症状はほとんどありません
- 進行期:出血やむくみが起こり、見えにくさを感じることがあります
- 重症化:新しい血管が増え、大きな出血や網膜剥離を起こすことがあります
眼底写真で見られる所見(眼底)
- 点状・斑状の出血
- 血管の形の乱れや拡張
- 進行すると新生血管が見られることがあります
OCT検査で見られる特徴(OCT)
- 網膜のむくみ(黄斑浮腫)
- 網膜の厚みの変化
- 重症例では、網膜構造の乱れが見られます
糖尿病網膜症の重症度(目安)
- 初期(軽い段階):血管に小さな変化が見られますが、自覚症状はほとんどありません
- 進行期:出血やむくみが増え、見えにくさを感じることがあります
- 重症期:新しい血管が増え、大きな出血や網膜剥離を起こすことがあります
眼底撮影:診断のために「撮影・読影」するうえで重要なこと
患者さんにも関係するポイント
- ・画像のズレや乱れは、診断・治療方針に影響する可能性があります。
- ・一方で、検査が長くなると身体的・精神的負担が増大するため、「正確さ」と「効率」の両立が大切です。
綺麗に撮影できない、ピントが合わない、眼底が写らない→ 何か原因があるはず
- ・前回の画像を確認、広角撮影を追加する
- ・写らない理由を考えカルテに記載
- ・診察後に確認
技術的問題でないことを確認
正常眼底所見
- ・動脈:鮮紅色
- ・静脈:暗紅色
- ・太さ:3:4〜2:3で静脈の方が太い
若年者の正常眼底所見
- ・若い方の目では、眼底写真を撮影すると、目の奥にある、ものを見るために大切な部分である網膜全体が、なめらかで透明感のある状態として写ります。
- ・目の中心部分の形もはっきりしており、視力に重要な部分が良好な状態に保たれていることが確認できます。
綺麗な画像を得るには
① カメラ
- 撮影前:レンズ確認、クリーニングセット常備
- 撮影中:レンズの汚れは白く写る、瞬目過多には点眼麻酔
- 撮影後:対物レンズキャップ、ダストカバー
② 検者
- ・可能であればカルテの確認をする。( 疾患名、左右、眼底シェーマのチェックなど)
- ・ERGの前に眼底画像検査を行う
- ・撮影した画像の質と内容の確認をする
- ・病態の理解や基本的な解剖の知識を得ておく
③ 被検者への配慮(撮影時の工夫)
眼底撮影では、被検者の状態に応じた配慮を行うことで、より正確で負担の少ない検査につながります。
目の中が少し濁っている場合の対応
中心部分に混濁がある場合は、眼底が比較的鮮明に見える位置を探しながら撮影します。
まぶたやまつ毛による写り込み対策
撮影時にまぶたやまつげが写り込む場合は、上まぶたは親指で軽く挙上し、下まぶたはテープを使用して固定すると効果的です。
まずは正常所見を理解する
正確な眼底写真を撮るためには、正常な目がどのように写るかを知っておくことが大切です。
目の中心部分には内側の層は写らないため、そこに層が見える場合は、中心からずれて撮影されている可能性があります。
押さえておきたいOCTの撮り方のコツ
撮影を始める前に患者さんの状態を把握する
OCT検査を正確に行うためには、撮影前に患者さんの状態を把握しておくことが大切です。
視力
- ・視力は出ているのか?
- ・強度の屈折異常はないか?
視野
- ・物を見ようとしたときに、中心部分が見えにくくなっていないか?
- ・視野障害の程度は?(固視標の大きさの選択)
屈折
- ・座位で顎台にお顔を載せていられるか?
- ・エラーは出ていないか?(中間透光体の混濁)
眼位
- ・斜視はないか?(固視灯の提示位置)
眼振
- ・眼振はないか?(加算処理の有無)
患者さんの姿勢に気をつける
撮影時に気をつけたい姿勢
・顎が前に乗り出している
・ずり落ちている
・額がついていない
検査中に見てもらう目印の工夫
中心部分が見えにくい場合は、小さな目印では見づらいことがあります。
そのため、大きめの十字の目印を使い、交わる部分を見てもらうことで、安定した検査が行いやすくなります。
撮影の向きや角度の調整
OCT検査では、撮影する角度がわずかにずれるだけでも、
本来確認したい網膜の細かな構造がはっきり写らなくなることがあります。
また、血管の様子を確認する検査では、写り方に違いが出てしまう場合もあります。
そのため、測定の光が目のどの位置から入っているかを意識しながら、撮影の向きや角度を調整することが大切です。
- ・※撮影の角度は、光の入り方によって細かく調整しています。
撮影のポイント
①患者さんの状態に合わせて撮影方法を工夫します。OCT検査では、患者さんの目の状態や、検査で確認したい内容に応じて撮影の仕方を工夫しています。
確認したいポイントは、主に次の3つです。
検査に求められているもの
- ・目の状態が正常かどうか:健康な目のときに、どのように写るかを基準に確認します。
- ・どの部分に変化があるのか:目の中心なのか、視神経のまわりなのか、それ以外の部分なのかを意識して撮影します。
- ・どの部分をより詳しく見る必要があるのか:網膜、硝子体、脈絡膜など、目的に応じて重点的に確認する場所を変えます。
必要な部分がしっかり写るように工夫する。検査では、
目の状態や、確認したい部分を理解したうえで、変化がある場所をできるだけ正確にとらえられるよう、撮影方法を工夫しています。
② 画像のズレや乱れを防ぐための配慮
撮影中に体や目が動いてしまうと、画像にズレや乱れが生じることがあります。そのため、検査では次のような点に気をつけています。
- ・患者さんが無理のない姿勢で楽に座れているかを確認します
- ・撮影中は、目印を見続けてもらうよう声をかけます
- ・目の動きを補正する機能を活用しながら撮影します
- ・測定中は、できるだけ瞬きを控えてもらうようお願いしています
-
患者さんの負担が少なくなるよう、なるべく短時間で検査を終えることを心がけています
小児の検査で大切にしていること
お子さんの検査では、年齢や性格、その日の様子に合わせて、無理のない方法を選ぶことを大切にしています。検査の際には、次のような点に配慮しています。
- ・検査機器に座って行う検査が可能かどうかを確認します
- ・付き添いの保護者の方にも、必要に応じてご協力をお願いしています
- ・お子さんが興味を持てるよう、声かけを工夫しながら検査を進めます
- ・まぶしさの少ない検査から行い、負担をできるだけ軽くします
- ・無理をせず、その子にできる範囲で検査を行います
- ・集中が続くよう、できるだけ短時間で終わるよう心がけています
③ 被検者の状態に応じた撮影の工夫
被検者の目の状態によっては、そのままでは眼底がはっきり写りにくい場合があります。
そのため、次のような点に配慮しながら撮影を行っています。
- 目の中が少し濁っている場合の対応:目の中心部分が濁っている場合は、眼底が比較的鮮明に見える位置を探しながら撮影します。
- まぶたやまつ毛への配慮:撮影時に、まぶたやまつ毛が写り込んでしまう場合があります。
そのようなときは、上まぶたは指で軽く持ち上げ、
下まぶたはテープを使用するなどして、眼底が見えやすい状態を整えたうえで撮影を行います。¥
正常な状態をしっかり把握することが大切です
ポイント
正確な眼底写真を撮影するためには、まず、目が健康な状態のときにどのように写るのかを理解しておくことが重要です。
特に、目の中心部分(中心窩)には、本来、内側の層は写りません。
そのため、中心部分に内側の層が写っている場合は、
目の中心から少しずれた位置で撮影されている可能性が考えられます。
考察(研修レポート)
研修で学んだこと(原文)
院長は、私たちが撮影した検査結果を診断および治療方針の重要な判断材料としている。そのため、撮影部位のズレや画像の乱れが生じると、診断や治療方針に大きな影響を及ぼす可能性がある。このことを常に意識し、正確な撮影を行う必要がある。一方で、検査に過度な時間を要すると、患者さんの身体的・精神的負担が増大するため、検査の正確性と効率性の両立が求められる。適切な検査を実施するためには、撮影された画像が正確であるかを判断できるよう、正常所見のみならず異常所見についても十分に理解・把握しておくことが重要であると感じた。
この記事のまとめ(患者さん向け)
眼底検査やOCT検査では、目の奥にある、ものを見るために大切な部分の状態を詳しく確認することができます。
加齢黄斑変性やPCV、RAP、糖尿病網膜症などは、初期には自覚症状が少ない場合も多く、見え方に変化を感じたときには、すでに進行していることもあります。
そのため、症状がなくても定期的に検査を行い、小さな変化を早めに見つけることが大切です。
当院では、スタッフが研修で学んだ知識をもとに、一人ひとりの状態に合わせた丁寧な検査を心がけています。
気になる症状がある方や、定期検査をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
















