第73回静岡県眼科医会集談会 特別講演 2019.08.24(土曜日)
「これは眼内炎」どうやって鑑別する?
講師 大阪大学医学部視覚先端医学寄付講座 准教授 丸山和一先生
眼内炎とは一般的には眼内に生じる炎症であり、大別すると感染性眼内炎、非感染性眼内炎があります。
眼内炎を生じると、角膜後面に沈着物(KPと言います)を認めたり、角膜と虹彩の間の前房水に炎症細胞等が浮遊して流動する現象(温流)がみられます。
1:眼内炎(ぶどう膜炎も含め)のタイプによって温流のスピードに差がある。例えば、フィブリン析出を生じるようなタイプでは温流は遅く、細菌性眼内炎では温流は速く、緊急手術が必要なることがある。
2:眼底透見が不良なケースではERG(網膜電図)が役立つ。特にヘルペスウイルスによる急性網膜壊死ではERGは早期から平坦化する。
3:KPが角膜の上方に多く沈着している例では感染性眼内炎が疑われる。
4:手術によって感染性微生物や炎症物質等を取り除き網膜のダメージを極力取り除く。
5:サルコイドーシスによる眼内炎には感染性説、炎症説がある。
6:サルコイドーシスによる眼内炎の中にクラリスによる静菌作用で軽快するケースがあり感染症説が有力と考えられる。
7:ベーチェット病による眼内炎において口腔内ケアを行って口腔内環境を改善すると、発作が生じにくくなることが判明してきておりベーチェット病には口腔内の菌が関与している可能性がある。
など、まだまだ盛りだくさんの内容を講義していただきました。
明日からの臨床に役立つお話から最新のトピックスに至るまで御講演いただき、丸山先生ありがとうございました。