第19回静岡県屈折矯正セミナー
2018年10月27日(土)、ホテルアソシア静岡において静岡県屈折矯正セミナーが開催されました。
演題:「円錐角膜の診断と治療〜最近のトレンド」演者: 加藤 直子先生(埼玉医科大学客員准教授)
講演の内容を参考にまとめましたので以下に記します。
円錐角膜(KC: Kerato Conus)は角膜中央(黒眼の真中)が突出してくる病気です。
角膜が突出してくると強い乱視が発生し、像がにじんだ様な状態となり視力が著しく低下してきます。
男女比では3:2で1000人に1人の発生頻度と言われています。
K Cは角膜中央からやや下方が突出してきますが、類縁疾患であるペルシード角膜症は角膜最下方が突出する疾患です。
近視矯正手術であるレーシックは禁忌です。KCの方にレーシックを行うと、角膜拡張症を生じ急速にKCが悪化します。
原因としては不明な点も多く、遺伝因子(アトピー、花粉症で目を強く良くこするetc)などが指摘されています。
診断には急速な視力低下(乱視の急速な進行)、細隙灯検査(顕微鏡検査)などがありますが、角膜形状解析装置が大変有効です。(当院に導入されています)
重症度分類はステージ1〜4までありますが、細隙灯検査で発見できるのはステージ3以上ですので初期から診断できる形状解析装置の有効性がよくわかります。
治療としてはHCL(ハードコンタクトレンズ)の装用、角膜内リング、角膜移植などがありますが、この方法は角膜にリボフラビンという薬剤を点眼しそこにUV(紫外線)を照射して角膜を固くして(強度をあげて)KC進行を抑制する方法です。
海外ではヨーロッパを中心に盛んに行われているようです。
KCは少〜青年期に発生しケースによっては急速に進行してしまいます。
このため、(超)早期に発見し、進行を停止させることが重要です。
低下した視力に対しては病気に応じた屈折矯正法が必要です。
お子さまの急速に進行する視力低下に対しては当疾患のケースもありますから、早めの眼科専門医の受診をお願いします。