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ロービジョンケアの現場から:視覚障害児の学習支援と補助具選びのリアルレポート

ビジョンサポート機器展2024レポート:最新のロービジョンケアと支援技術

わたしは今回はじめてビジョンサポート機器展へ参加し、ロービジョンについて初めて知ったことが多く、ロービジョンケアがいかに必要とされているか考えさせられました。

まず今回のビジョンサポート機器展・相談会へご高齢の方や小さなお子さんをもつご家族など、約200名近い多くの方が来場されたことに驚きました。

同時にそれだけ多くの人がこのビジョンサポート機器展・相談会を必要としているんだなと実感しました。

そして来場された方のほとんどが視覚障害者情報支援センター、資格特別支援学校、そして眼科医院からの紹介でした。

調べてみると目の見えにくい方への行政の相談の窓口となる「視覚障害者情報支援センター」や、0歳児から成人までの学習、生活などの相談を行っている「静岡視覚特別支援学校」といった視覚障害者の方に寄り添った施設が静岡県内には多数あることを知りました。

ビジョンサポート機器展では様々な体験を通じて視覚障害の方の理解を深めることができます。

また受付では「ボイスサインカード」というカードを配布していました。そのカードには「言葉で説明してください」「代筆してください」「狭い場所、危険な場所では誘導してください」「その他必要に応じてお手伝いをお願いします」と書いてあり、視覚障害者の方が困った時に出すと相手に自分の状況が伝わるとても便利なカードでした。そのカードの存在をわたしはもちろん、来場していただいた視覚障害者の方達も知らない方が多く、ぜひこのカードを知り合いの視覚障害者の人にもあげたいから何枚かくださいと仰ってる方もいらっしゃいました。

ただのカード1枚であっても、こういった小さなことが視覚障害者の方には生活の支えに繋がるんだなと考えさせられました。

そして視覚障害者の方の補助器具や支援といえば「白杖」や「盲導犬」のイメージでしたが、約30社の補助器の展示や支援団体のブースでは白杖以外にも初めて見るものが多くありました。

盲導犬と触れ合うお子さん

その中でも目的地を入れたり、スマホで風景をかざすだけで道案内と障害物を検出し教えてくれる「Eye Navi(歩行支援アプリ)」はとても斬新で驚きました。歩行信号機が赤の横断歩道の写真にスマホをかざして見ると、信号が赤で渡れないことはもちろん人、自動車、白線などをAIが音声で細かく教えてくれました。

実際今年の11月に行った社員旅行先で、白杖をもった視覚障害者の男性が一人で駅の構内で道に迷っている状況に遭遇しました。その時はすぐに他のスタッフが声をかけ、目的地まで肩を貸して案内していましたが、このアプリは事前にダウンロードしておけば、盲導犬が飼えなかったり、1人で生活をしている視覚障害者の人でも自由に外出ができるとても画期的なものだなと感動しました。

最後にわたしは普段職場でロービジョンの方と検査等で関わることはあっても、その方たちの生活まで深く考えたことがありませんでした。

もちろん時代が進むにつれてAIなどの技術が向上し、今回の機器展で見たような新しい補助器具はたくさん増えていると思います。

しかしそれらのロービジョンケアに終わりは無く、視覚障害者の人によって「できること」「できないこと」も異なるため、わたしたち医療関係者や福祉関係者が日々接していく中で、そこをどうやって深掘りしていくか、どうやったら不安を減らして安心に繋げることができるのか、ほんの些細なことでも気付いてあげることがまずは大切だなと思いました。今回この貴重なイベントに参加して感じたこと、学んだことを忘れずに日々生活していきたいです。H.S

 

視覚障害児の学習環境改善へ:専門家が教える具体的なサポート方法

今回初めてビジョンサポート機器展に参加し、実際に視覚障害者の方と関わってみて、改めてロービジョンケアの重要性を実感することができました。

片眼光覚弁、片眼0.03ほどの低視力の参加者の方が、視能訓練士3名の方に普段の生活のことや、資格補助具のことを相談するところを実際に見させていただきました。そのご家族が心配していたことは、「テストが時間通りに終わらない」
ということでした。手持ち式拡大鏡を使って文字を読んでいるため、周りの子に比べて文章を読むことに時間がかかってしまっているからです。
まず提案していたのは、担任の先生に相談することです。時間の調整についてや、別の部屋で行わせてもらえないかどうか相談するよう提言していました。保護者の方もまだ担任の先生に相談できていなかったようで、医療従事者であるスタッフが助言することで、相談していいんだと安心しているように思えました。当たり前のように感じてしまうことも、医療従事者である私たちの助言により、患者さんの負担が軽くなることもあるため、患者さんの気持ちを汲み取り、あらゆる提案をすることが大切であると感じました。
次に行っていたことは、視覚補助具の提案です。その参加者の方も既に手持ち式拡大鏡を使用していましたが、より見やすい倍率の拡大鏡を見つけるため、周りにあった様々な倍率の拡大鏡を試用してもらい、プリントの文字が最も見やすい倍率を探していました。また、周りを黒い画用紙で囲われていて、一文だけが見えるように穴抜きされているタイポスコープや、文字が拡大して見える黄色いシート、黄色いレンズの眼鏡など、文字が読みやすくなる補助具を次々に紹介しており、その知識の豊富さに驚きました。参加者の男児も黄色いシートを使った時の見えやすさに驚いて、「これ欲しい」と言っていたため、患者さんのQOLを上げるためにも、一人一人の悩みに合った補助具をすぐに勧められるよう、豊富な知識を身につけたいと感じました。
また実際にロービジョン外来を行っているORTの方々にも直接お話を聞くことができました。
まずは、患者さんの見えづらいという訴えは、視力の低下からくるものなのか、視野の狭さからなのか、眩しさからなのかどうかを考えることが重要であると教わりました。見えづらい原因が分かった上で、その原因を取り除けられるような解決策をいくつか提案し、患者さんとコミュニケーションを取りながら、試行錯誤していく必要があると伝えてくださいました。限られた時間の外来の中で患者さんのニーズにどこまで応えるかは、ベテランのORTの方でも悩むところと仰っていました。まずは、裸眼で見えづらいなら完全矯正眼鏡、近くが見えづらいなら老眼鏡、眩しくて見えづらいなら遮光眼鏡を勧めるなど、提案しやすいものから始めていき、患者さんとコミュニケーションを取る力を身につけていくと良いとアドバイスいただいたので、臨床の場でも実践していきたいと思いました。

大きな文字で学習が進むドリルの紹介

ロービジョンケアについては、大学の講義でも軽くしか触れてこなかったのですが、今回視覚障害者の方やORTの方と直接交流することで、ロービジョンケアがいかに必要とされているかを実感することができました。この経験を無駄にしないよう、実際の臨床現場でも患者さんの悩みを聞き出し、その悩みが少しでも改善されるようあらゆる提案を積極的に行っていきたいと感じました。T.Y

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