ERGは光刺激によって網膜(カメラでいえばフィルムに相当)から発生する電位を記録する検査方法
この検査によって網膜に広範囲な機能障害が存在するかどうかを調べることができます。
これまでのERGは暗順応後に強いフラッシュ刺激を用いて記録するERG装置が一般的でしたが今回導入したERG装置はスイッチひとつで簡単に錐体応答と杆体応答を分離できます。
検査の対象
1)中間透光体の混濁(角膜混濁、白内障、硝子体混濁など)により眼底が見えない場合で網膜機能の評価が必要な場合
2)夜盲症疾患
網膜色素変性症
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無色素性変性症
小口病
白点状眼底
先天停止夜盲
3)昼盲症疾患(明所でまぶしさを訴える):錐体応答が選択的に減弱
錐体ジストロフィー
杆体一色型色覚(全色盲)
4)網膜血行不全(糖尿病、動脈閉塞、高安病など)
DMR(糖尿病性網膜症):律動様小波の頂点潜時が延長
CRAO(網膜中心動脈閉塞):律動様小波、a波、b波減弱
注意点
ERGの反応は神経節細胞より中枢の反応は含まれないため緑内障・視神経萎縮では神経節細胞により外層の機能に障害を起こさないためERGは正常となる。
ERGは網膜全体の機能を反映するため網膜の一部の障害(ex黄斑変性等)では正常な反応となる
評価
網膜全体の機能の評価を行い病気の進行状況や病気の予後の判定に役立てます。
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全視野精密網膜電図[/caption]
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文章監修:鈴木徹(眼科専門医)