アルコン遠近両用コンタクト
スタッフ2名がアルコン社主催の遠近両用コンタクトレンズセミナー2019に参加しました。
2019/11/09
ALCONの遠近両用SCLは、全て同デザインの累進レンズ(中心から外側に向かってグラデーションの様に近用度数が強くなっていく構造)
トータルワンMFに関しては、近用の加入度数がUPしても、遠くの解像度は下がらない。
遠近両用SCLの処方率が低い原因
・患者の認知度、理解度が低い
・自身が老眼であることを認めたくない
・検査側における処方難易度が高いイメージ
患者に遠近両用SCLを進める際のおすすめの仕方
×患者を追い詰める
「近くが見えにくいのではありませんか? それは老眼です」と言い切ってしまう。
○患者に共感する
「最近目が疲れていませんか? 目の疲れから解放するおすすめのレンズがありますよ」
遠近両用SCLには様々な用途がある
・老眼用
・眼内レンズ挿入後の眼
・眼精疲労対策
・近視の進行抑制
現在販売されているシリコンハイドロゲルの1daySCL
・デイリーズトータルワン(ALCON)…シリコンを浸水ポリマーで包む
・マイデイ(クーパー)…親水性のシリコン
・アクアロックス(ボシュロム)…シリコンを新生成分で包む
※シリコンハイドロゲルは、夕方でも涙液層が安定するため充血しづらく、良好な視界が保たれる。
処方に関して
【白内障のない、50歳くらいの年代の方におすすめしやすい】
人間は脳でモノを見ている。
ニューロアダプテーション……新しい見え方を学習する能力。年代が若い程適応しやすい。
脳の観点から見ると、遠近SCL処方の際は、患者への声掛けがかなり重要視される。
「見えると思っていると見えてきますよ」
「この見え方を嫌がらなければ段々と慣れて見えて来ます。嫌がると益々見えにくくなってしまいます」
「遠くから近くまでそれなりに見えるようになります」
「眼の開け方や向きで見え方が変わるので、ご自身で見えやすい顔の向きを覚えて置くと良いですよ」
「眼が乾く」と訴える患者の中には、SCLの近視過矯正が原因のものがある。
遠近両用SCLに向かない方……レンズを入れた際、遠・中・近どれも「見えない」と訴える方。
※逆に「貴方には遠近のレンズに向かないかもしれません」と言われた患者が意外と使えると仰った例もあるようです。
まとめ
今回の講習で、度数合わせも確かに重要なのですが、患者さんへの声掛けもかなりの比重を占めているのだと思いました。まずは遠近両用SCLを受け入れて貰えなければ話は始まらないので、そこへ移行するまでのアプローチとしては、老眼であるというマイナスな印象よりも、今の状態をもう少し良くできるレンズがあるというメリットを伝えるのが大切です。
また、梶田先生の講演では遠近両用SCLの処方を難易度別にご説明くださったのですが、最高難易度の処方が「車の運転をする患者」ということでしたので、当院のスタッフは車の運転ありきの患者さんにレンズを処方することが殆どなので、少し自身を持つことが出来たとも思います。
平均寿命がどんどん長くなって行く中、人生の半分以上は老眼と聞き、確かにその通りだと思うのと同時に、こんなにも長く付き合っていかなければならない老眼とどう向き合って行くのか、その方法の一つとしてこんな選択肢があるんですよと、患者さん達にも積極的に進めて行くべきだと改めて思いました。M.K
若年層でも眼精疲労を感じている方は案外多く、過矯正を招くドライアイを引き起こす原因にもなるよう。
若い方は順応性が高いのでそれを利用して早めの処方も考える必要があるかもしれない。
まずはしっかりと完全矯正をし、様々な処方・対応力アップを目指したいです。
自身の体験を押し付けず、提案をできる表現力についても学びたいと思いました。
コンタクトレンズの世界市場では日本は2位であるが、遠近コンタクトについては周知が低いことと、「遠近」や「老眼」という言葉への抵抗から浸透が広まっていない。遠近コンタクトの市場成長はこれから豊かなシニア世代を過ごすためにもしっかりと患者さんへ伝えていきたい。
遠近コンタクトについての現状
・遠近両用コンタクの存在を知らない
・老師を認めたがらない「老」という言葉に反応してしまう患者さんがとても多い
受け入れを押し付けること=「患者さんを追い詰めること」
今後は「遠近」でなく「マルチフォーカル」という表現で前向きな印象を出していく
なぜ日本のマルチフォーカル市場は遅れているのか?。。。人生の半分は遠近両用が必要なのに。。。
マルチフォーカルのターゲット層は以下
・近視抑制治療(海外では子どもさんにも使っています)
・老視用として
・多焦点の白内障手術を片目だけ手術した後のしていない片眼用の患者さんへ
・単焦点の白内障手術を受けた患者さんの日常生活にマルチフォーカルコンタクトを進める
アルコンのトータルワンは第4世代のシリコンハイドロゲルとして代表的な存在。
レシチン(リン脂質)涙液層が安定するので涙面収査が出にくい。見え方がすっきりにじみぼやけは出にくい。
中高年(80年代)のパソコン作業による眼精疲労をはじめとする肩こり、偏頭痛など近年話題になっているが、2010年の調査では若年層から中高年齢層の間にも同じような症状が現れている。
症状はスマホによる眼精疲労でそれにより毛様体筋疲労と外眼筋の疲労がある。視線ズレを起こす若年層も出始めている。上手にスマホと付き合うために今後は注意喚起をしていきたい。K.N