妊娠と点眼剤(薬剤)使用のリスク
薬剤添付文書による妊婦、授乳婦への薬剤使用によると「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」となっています。
もう一つの問題は妊娠していることを知らずに薬を使用した際です。
経口剤の場合
正常妊娠でも先天異常は2〜3%生じます。
先天異常のうち70%前後は原因不明で薬剤が原因と考えられるのは先天異常の中のさらに1%未満であるため、
薬剤によるリスクは
1万人に2人程度と考えられます。
点眼剤の場合
経口剤よりさらに血中移行濃度は少ないため、よりリスクは低減すると考えられます。
しかし、薬剤による妊娠時期と胎児への影響も知っておく必要があります。
1)妊娠4週まで:影響が大きれば流産、小さければ修復、形態異常の可能性はないと考えられている。「全か無の時期」であります。
2)妊娠4〜12週:骨格や器官ができる時期のため、リスクが1番高い時期です。
→注意が必要
3)それ以降:一部胎盤を移行する薬剤には注意が必要です。
以上から薬剤、特に点眼剤では妊娠中の使用に対して心配をする必要はかなり低いのですが、妊娠4〜12週の投薬、点眼は控える様にしましょう。
又、授乳中では更にそのリスク(点眼剤の使用の)は低いと考えられます。
※胎児毒性のリスクのある薬剤
①非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)
②ACE阻害剤(降圧剤)
③ワルファリン
④アルコール・タバコ
⑤過剰なヨード剤等
※授乳中の使用に適さない薬物
①アミオダクロン(抗不整脈薬)
②放射性ヨウ素
③アルコール・タバコ
※抗菌剤の点眼剤使用に際し代替として眼なんこう使用することも一つの方法です。
※点眼後薬剤の全身吸収を極力減らすために約1〜2分程度、目頭(メガネの鼻当てがあたる部分)を圧迫、抑えるようにしてください。
※服薬の影響が心配な妊婦さんに対し「
妊娠と薬情報センター」が相談にのってくれます。