新しいドライアイ治療薬「アバレプト」とは?仕組みと使い方の注意点
おおるり眼科クリニック院長の鈴木が、2026年7月4日に開催された、新しいドライアイ治療薬「アバレプト」についての勉強会に参加しました。
アバレプトは、2026年4月に発売されたドライアイのための新しい目薬です。これまでの目薬とは少し違う仕組みで、目の乾きや違和感などのつらさにアプローチします。
「目薬を使っているのに、しみる感じやゴロゴロ感が残る」「検査では大きな傷がないと言われたのに、つらさが続く」——そのように感じている方に知っていただきたい内容をまとめました。
アバレプトは、ドライアイに使われる新しい点眼薬です。目の表面の刺激に関わるTRPV1というセンサーに着目した薬で、目の乾き、しみる感じ、ゴロゴロ感などの不快感に対する新しい選択肢として期待されています。
ただし、ドライアイの原因や症状の出方は人によって異なります。アバレプトが合うかどうかは、目の状態を確認したうえで判断することが大切です。
気になる症状が続く方は、自己判断で目薬を選ぶのではなく、眼科で相談しながら治療を進めましょう。
| どんな薬? | TRPV1という刺激のセンサーに着目した、ドライアイ治療薬です。 |
| 期待されること | ドライアイに伴う目の乾き、不快感、しみる感じなどの改善が期待されます。 |
| 使い方 | 通常、1回1滴、1日4回点眼します。懸濁性の目薬なので、使用前によく振ることが大切です。 |
| 大切なこと | すべてのドライアイに同じように使う薬ではありません。目の状態を確認したうえで、医師が必要性を判断します。 |
このようなドライアイ症状でお困りではありませんか?
ドライアイは「乾く」だけでなく、しみる、痛い、ゴロゴロする、目が重い、かすむなど、さまざまな症状として現れることがあります。特に、症状が長く続く場合や、今の点眼薬で十分な実感が得られない場合は、目の表面の状態やドライアイのタイプを確認することが大切です。
ドライアイは「涙が少ない」だけではありません
「ドライアイ」とひとことで言っても、原因は一つではありません。大きく分けると、次のようなタイプがあります。
| 主なタイプ | イメージ |
|---|---|
| 涙の量が少ないタイプ | 目の表面をうるおす涙そのものが不足している状態です。 |
| 涙が蒸発しやすいタイプ | 涙は出ていても、目の表面から乾きやすい状態です。 |
| 涙が目にとどまりにくいタイプ | 涙が目の表面に均一に広がらず、不快感につながることがあります。 |
ドライアイでは、検査で見える目の表面の状態と、ご本人が感じているつらさが必ずしも一致しないことがあります。傷が少なく見えても、しみる、痛い、ゴロゴロするなどの症状が強く出る方もいます。
ドライアイのつらさは、人によって感じ方が違います
ドライアイによる目のつらさは、原因によって次のように分けて考えられています。
| つらさの背景 | 考えられること |
|---|---|
| 傷によるしみるような痛み | 角膜、つまり黒目の表面にできた小さな傷などが原因になることがあります。 |
| 神経が過敏になっているタイプ | アトピー性皮膚炎、ヘルペス、目の手術を受けた方などでは、目の表面の神経が敏感になっていることがあります。 |
| 心理的な要因が関わるタイプ | ストレスなどが、症状の感じ方に影響することがあります。 |
これらはいずれも、目の表面の「知覚神経」に何らかの変化が起きていることと関わっていると考えられています。「同じドライアイ」と言われても、つらさの感じ方に差が出るのはこのためです。
目の表面にあるセンサー「TRPV1」とは
目の表面、特に角膜には、知覚神経と呼ばれる神経が細かく張り巡らされています。この神経は、目の表面の状態を感じ取り、目を守る働きに関わっています。
この神経には、刺激を感じ取る「センサー」のようなものがあり、その一つが「TRPV1(通称:トリップブイワン)」です。TRPV1は、傷んだ目の表面から伝わる刺激を感じ取るセンサーの役割を担っています。
TRPV1が過敏になると、つらさを強く感じやすくなります
ドライアイの状態では、TRPV1というセンサーをもつ神経が、過敏に反応しやすくなっていると考えられています。目の表面が不安定になると、風、乾燥、まばたきによるこすれなどの刺激を強く感じやすくなります。
つまり、このセンサーの働きを抑えることができれば、目の不快感をやわらげ、これまでなかなか改善しなかったつらさを抑えられるかもしれない、というのが今回の勉強会の重要なポイントでした。
勉強会では、次のような悪循環が起きている可能性があることが紹介されました。
従来のドライアイ治療薬との違い
これまでのドライアイ治療では、涙を補う、涙の成分を整える、目の表面を保護する、といった考え方が中心でした。アバレプトは、それらとは異なり、ドライアイに伴う不快感に関わるセンサーに着目している点が特徴です。
| 治療の考え方 | 主な目的 | ポイント |
|---|---|---|
| 涙を補う治療 | 目の表面のうるおいを補う | 乾燥感が中心の方に使われることがあります。 |
| 涙の質を整える治療 | 涙を目の表面に広がりやすくする | 涙が不安定になりやすいタイプで検討されます。 |
| アバレプト | TRPV1の働きを抑え、ドライアイに伴う自覚症状と他覚所見の改善を目指す | 目の状態や症状を確認したうえで、適しているかを判断します。 |
ドライアイはタイプや重症度、生活環境、コンタクトレンズの使用状況などによって、適した治療が異なります。アバレプトを使うかどうかも、診察で目の状態を確認したうえで判断します。
新しいドライアイ治療薬「アバレプト」について
2026年4月、千寿製薬から新しいドライアイ治療薬「アバレプト」が発売されました。
アバレプトは、目の表面のセンサーであるTRPV1の働きを抑えるタイプの目薬です。神経や目の表面の細胞など、複数の部分に働きかけることで、患者さんが感じている症状と、検査で分かる目の状態の両方の改善が期待されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売名 | アバレプト懸濁性点眼液0.3% |
| 一般名 | モツギバトレプ |
| 効能・効果 | ドライアイ |
| 使い方 | 通常、1回1滴、1日4回点眼します。 |
| 特徴 | TRPV1の働きを抑えることで、ドライアイに伴う自覚症状と他覚所見の改善が期待されます。 |
試験で確認されたこと
536人のドライアイの患者さんを対象とした試験では、アバレプトを使ったグループと、有効成分の入っていない目薬を使ったグループとで、1日4回、8週間の使用を比べました。
その結果、4週間使った時点で、生活の質に関するアンケートの点数が、アバレプトを使ったグループのほうで改善していることが確認されました。勉強会では、使い始めてから比較的早い段階で症状の変化を感じた方がいたことも紹介されていました。
すべての方に同じような効果が出るわけではありません。ご自身のドライアイのタイプや症状に合っているか、医師と相談しながら使うことが大切です。
アバレプトを使う前に知っておきたい点眼のコツ
目薬は、正しく使うことで本来の効果が発揮されやすくなります。アバレプトに限らず、点眼薬を使うときは清潔さと点眼間隔が大切です。
アバレプトを使うときの注意点
目や体が冷たく感じる、目のかすみ、目のかゆみや違和感、涙が増えるなど、気になる症状がある場合は、使用を続けるかどうかを医師にご相談ください。
アバレプトについてよくある質問
院長の考察
今回の勉強会を通じて、ドライアイは涙の量だけでなく、目の表面の神経の状態やまばたきによる目の表面の摩擦や炎症など、いくつもの要因が重なって症状を引き起こしていることを改めて感じました。
特に「良くなっている感じがしない」とおっしゃる患者さんに、TRPV1という新しい切り口からアプローチできる目薬が登場したことには、大きな意味があると思います。
ただし、新しい薬であっても、すべての方に適しているとは限りません。症状だけでなく、涙の状態、目の表面の傷、生活環境、他の目薬との関係も確認しながら、一人ひとりに合った治療をご提案できるよう努めてまいります。
まとめ|ドライアイのつらさは、我慢せずご相談ください
今の目薬でなかなか症状が良くならない、目の乾きや違和感がつらい、という方は、一人で我慢せず当院までご相談ください。ドライアイのタイプやつらさの原因を確認したうえで、お一人おひとりに合った治療法をご提案します。
より詳しい薬の情報は、患者さん向けの公的な資料「くすりのしおり(アバレプト懸濁性点眼液0.3%)」でもご確認いただけます。
※本記事は、学会・勉強会で学んだ内容をもとに、患者さん向けに分かりやすくまとめたものです。効果や副作用の感じ方には個人差があります。治療方針については、必ず担当医にご相談のうえ決定してください。
