子どもの眼鏡はどう処方する?近視・遠視・乱視とフレーム選びのポイント
子どもの眼鏡はどう処方する?近視・遠視・乱視とフレーム選びを視能訓練士が解説
おおるり眼科クリニックの視能訓練士・滝が、小児の眼鏡処方についての研修に参加しました。
今回は「小児の眼鏡処方に関する手引き」を参考に、子どもの近視・遠視・乱視・不同視に対する眼鏡処方の考え方を、患者さんにも分かりやすい言葉でまとめます。
子どもの眼鏡は、単に「見えにくいから作るもの」ではありません。視力の発達、両目で見る力、目の位置、レンズの中心、フレームの合い方まで確認することが大切です。
子どもの眼鏡処方では、裸眼視力の数字だけで判断しません。調節麻痺下屈折検査で本来の度数を確認し、近視・遠視・乱視・不同視の程度、弱視や斜視の有無、瞳孔間距離、フレームの状態を総合して判断します。
| ✓ | 子どもの眼鏡処方で調節麻痺下屈折検査が大切な理由 |
| ✓ | 近視・遠視・乱視・不同視の眼鏡処方の考え方 |
| ✓ | PD・光学中心・フレーム選びが見え方に影響する理由 |
| ✓ | 視能訓練士が診療現場で確認しているポイント |
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子どもの眼鏡処方はなぜ慎重に行うの? |
子どもの目は発達途中です。強い遠視や乱視、左右差がある状態をそのままにすると、視力の発達が妨げられることがあります。
子どもは「見えにくい」と自分から言えないことがあります。視力検査の結果だけでなく、目を細める、テレビに近づく、黒板を写すのが遅い、集中が続きにくいなど、生活の中の様子も大切な情報です。
| ✓ | 視力が年齢相応に発達しているか |
| ✓ | 近視・遠視・乱視の本来の度数 |
| ✓ | 斜視や弱視の有無 |
| ✓ | 両目で見る力、立体的に見る力 |
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調節麻痺下屈折検査とは? |
子どもはピントを合わせる力が強いため、通常の検査では本来の度数が分かりにくいことがあります。そこで、点眼薬で一時的にピント合わせの力を休ませてから、近視・遠視・乱視を調べることがあります。
| ✓ | 隠れている遠視がないか |
| ✓ | 近視が実際より強く測定されていないか |
| ✓ | 乱視の度数と軸 |
| ✓ | 左右の目の度数差 |
シクロペントラート塩酸塩などの調節麻痺薬を使用すると、一時的にまぶしくなったり、手元が見えにくくなったりします。内斜視や強い乱視が疑われる場合は、目の状態に応じて別の薬剤を選ぶこともあります。
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近視に対する眼鏡処方 |
| 近視の程度 | 屈折値の目安 | 確認すること |
|---|---|---|
| 弱度近視 | -0.50D以上、-3.00D未満 | 学校生活で困っていないかを確認します。 |
| 中等度近視 | -3.00D以上、-6.00D未満 | 遠方視の質、眼位、装用状況を確認します。 |
| 強度近視 | -6.00D以上 | レンズ中心と瞳の位置、フレームのずれを特に確認します。 |
近視の眼鏡は、過矯正を避けたうえで、遠くがよく見える適切な度数まで矯正することが基本です。ただし、完全矯正で近くを見るときに内斜位が強くなる場合には、低矯正や累進屈折力レンズを検討することがあります。
近視に乱視がある場合は、原則として円柱度数と乱視軸を適切に矯正します。子どもは慣れる力がある一方で、軸が合っていないと見え方が安定しません。装用後の見え方や慣れ方を確認します。
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強度近視・不同視で注意したいこと |
強度近視の凹レンズは、中心から視線がずれるとプリズム作用が生じ、両眼で見にくくなることがあります。大きな丸いフレームより、小型で横長の楕円形に近いフレームの方が、レンズの厚みや重さを抑えやすい場合があります。
| ✓ | 小児は順応力があるため、3.00〜4.00D程度の左右差でも眼鏡を処方できる場合があります |
| ✓ | 左右差が4.00Dを超える場合は、コンタクトレンズも選択肢になります |
| ✓ | 実際には、年齢、生活状況、装用管理ができるかを含めて判断します |
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遠視に対する眼鏡処方 |
遠視は「遠くがよく見える目」と思われがちですが、実際には近くにも遠くにもピント合わせの力を使って見ていることがあります。子どもは調節力が強いため、遠視があっても視力検査ではよく見えることがあります。
| 遠視の程度 | 屈折値の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 弱度遠視 | +2.00D以下 | 症状や眼位を確認します。 |
| 中等度遠視 | +2.25D〜+5.00D | 視力が良くても眼鏡を検討することがあります。 |
| 強度遠視 | +5.25D以上 | 弱視や斜視との関係を特に確認します。 |
調節麻痺下屈折検査を行い、遠視の度数を確認した場合、弱視や斜視がなければ、測定された遠視をすべて矯正せず、1.00D程度弱めて処方することがあります。これは、装用直後に遠くが見えにくく感じたり、眼鏡を嫌がったりすることを避けるためです。
内斜視や弱視を伴う遠視では、遠視をしっかり矯正することが治療上重要になる場合があります。記載した度数だけで自己判断せず、眼位や視力の発達を確認して処方します。
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瞳孔間距離(PD)と光学中心 |
PDとは、左右の瞳の中心間の距離です。眼鏡では、瞳の位置とレンズの光学中心が合っていることが大切です。ここがずれると、見えにくさや疲れにつながることがあります。
| ✓ | プリズム作用により、見かけ上の斜位が出ることがある |
| ✓ | 収差により、レンズの見え方の質が落ちることがある |
| ✓ | 両目で見るときに疲れや違和感が出ることがある |
子どもは成長とともに顔の大きさや瞳孔間距離が変わります。度数だけでなく、PDとレンズの位置も定期的に確認します。
遠視と内斜視がある場合にはBase Out効果、近視と間欠性外斜視がある場合にはBase In効果を考慮し、PDを大きめにとることがあります。これは眼位や両眼視機能を確認したうえで行う専門的な処方です。
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子どものフレームとレンズの確認点 |
眼鏡は度数だけでなく、フレームの選び方やレンズの位置で見え方が変わります。視能訓練士は、処方内容だけでなく、実際にできあがった眼鏡の状態も確認します。
乱視軸が1度ずれると、乱視の矯正効果は約3%低下するとされています。強い乱視では、フレームの傾きやレンズの回転が見え方に影響しやすいため、眼鏡の状態確認が大切です。
| ✓ | 処方箋どおりの度数・PDで作られているか |
| ✓ | レンズの光学中心と瞳の位置が合っているか |
| ✓ | フレームが曲がっていないか、ずり落ちないか |
| ✓ | レンズに傷や汚れ、コーティングの剥がれがないか |
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子どもの診察ではキーパーソンも確認します |
子どもの眼鏡治療は、本人だけで完結するものではありません。保護者、祖父母、園や学校の先生など、日常的に眼鏡の使用を見守る方の理解が大切です。
| ✓ | 誰が診察に付き添っているか |
| ✓ | 日常の眼鏡管理を主に行っている方は誰か |
| ✓ | 家庭や学校で眼鏡を使用できているか |
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よくある質問 |
不要とは限りません。子どもは調節力が強いため、遠視があっても一時的に視力が出ることがあります。中等度以上の遠視や乱視がある場合は、遠くも近くも見えていても眼鏡を検討することがあります。
子どもは成長とともに度数、顔の大きさ、PDが変化します。フレームも曲がったり、ずり落ちたりしやすいため、定期的な確認が必要です。
度数が合っているか、フレームが痛くないか、鼻や耳に負担がないかを確認します。見え方だけでなく、かけ心地も装用継続に大きく関係します。
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視能訓練士 滝の考察 |
日々の臨床では、子どもに眼鏡を処方するべきか、どの程度の度数で処方するべきか迷う場面が少なくありません。今回の研修を通して、「小児の眼鏡処方に関する手引き」が示されていることを改めて学び、今後の診療で積極的に活用していきたいと感じました。
また、眼鏡の見え方は度数だけで決まるものではなく、フレームの大きさ、瞳孔間距離、レンズの光学中心、フレームの傾きやレンズの回転などにも影響されることを学びました。
今後は、処方された度数だけでなく、実際にお子さんが使用している眼鏡の状態まで適切に評価できる知識と技術を身につけ、患者さんが適切な眼鏡を快適に常用できるよう努めていきたいと思います。
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まとめ|子どもの眼鏡は検査・処方・確認が大切です |
| ✓ | 子どもの眼鏡は、視力の発達を支える役割があります |
| ✓ | 視力だけでなく、屈折値、眼位、両眼視機能を確認し、必要に応じて調節麻痺下屈折検査を行います |
| ✓ | 度数だけでなく、PD、光学中心、フレームの状態も大切です |
| ✓ | 成長に合わせて、眼鏡の度数とフィッティングを見直します |
目を細める、テレビに近づく、黒板が見えにくい、学校健診で視力低下を指摘されたなどの様子がある場合は、眼科で詳しい検査を受けることをおすすめします。
おおるり眼科クリニックでは、眼科専門医の診察と視能訓練士による検査を行い、お子さんの視力、屈折値、眼位、両眼視機能を確認したうえで、必要に応じて眼鏡処方をご案内しています。
