弱視スクリーニング検査
概要
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01〜0.02程度で明るさと暗さを判別できるくらいです。
生後2ヶ月を過ぎると目は急速に発達して3歳ぐらいには大人と同じくらいの視力に達します。この間の目の成長は著しいためその分、目の感受性は高まります。
国立成育医療研究センターが2021 年 3 月に「改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル」には「視力の発達途上で感受性の高い 0~2 歳に起こる眼疾患は、発見が遅れると視力予後不良となる。」と記されています。
同研究センターの乳児健康診査においての指針いおいても以下の様に視覚の異常をきちんと捉えることの重要性が書かれています。
引用・・・重症眼疾患の早期発見が重要である。生後2~3か月頃から、両目で物を立体的にとらえる機能(立体視)が急速に発達するが、この時期に顕性化してくるのが乳児内斜視である。
正常な乳児では生後4か月で約 85%、生後6か月になると 95%以上が正位となる。生後2か月以降に大角度の内斜視がある場合には自然軽快はほとんどない。
乳児内斜視は未治療のまま 3 か月以上放置すると、弱視をきたし立体視の獲得が困難となる。・・・引用終わり
上記のように「弱視」は特に注意が必要です。
「弱視」とはメガネやコンタクトレンズを装着しても視力が1.0得られない目の病気を言います。
「弱視」は一定の期間を過ぎると治療が困難になります。感受性期間(6〜8歳)を過ぎると不可逆的な視力不良となり、治療に対する反応が低下、十分な回復が期待できなくなります。
自ら症状を訴えることができない小児期では、保護者がお子さんと接していて感じる顔つきや目つき、しぐさの異常が受診のきっかけとなります。
保護者の方は、日頃からお子さんの様子を注意深く観察し、異常を感じた場合は眼科専門医を受診して症状を詳しく伝えてください。
しぐさや症状をスマホ等であらかじめ撮影し、診察時に医師に見せていただくとより詳細な状況を確認することができます。
三歳児検診で眼の病気や屈折異常が発見できないこともありますので、保護者の方の日頃の観察は非常に大切です。
原因
「弱視」とは、視覚感受性期間内に何らかの影響(先天性白内障、斜視、屈折異常、その他眼疾患等)で適切な視覚刺激を妨げられることによって、視力の発達が阻害され、生じる視力障害です。 視力の良好な発達を維持するためには、こうした原因を取り除く必要があります。
症状
- 乳児
- 両目の視線が合っていない
- 目が揺れる
- 目で物を追わない
- おもちゃに反応しない
- 涙および目やにが止まらない
- 幼児・年長児
- 遊びが長続きしない
- 目を細める
- 目にすごく近づけてものを見る
- 字がマス目から大きくはみ出す
- 異常にまぶしがる
検査
視覚スクリーニング検査(スポットビジョンスクリーナー)
視覚スクリーニング検査(スポットビジョンスクリーナー)検査結果例
治療
眼鏡矯正
眼鏡で手助けを行い、はっきりとした形を見ることで脳の成長を促します。 【屈折異常弱視】強度の遠視や近視に対し、真の屈折度数を調べ、適切な眼鏡を装用することです。 【不同視弱視】眼鏡で矯正することに加え、視力の良い目の目隠しをし、見えにくい眼でものを見る訓練をします。 【斜視弱視】眼鏡による矯正や目の位置のバランスを改善する手術、目隠しをして見えにくい眼でものを見る訓練などの治療を行います。 ものを見る訓練は薬剤(ピントを合わせる力を取り除く目薬)で調節力を取り除いて屈折異常を検出し、適正な眼鏡を装用の上、片眼性弱視であれば1日数時間、よく見える目をアイパッチなどで遮蔽することで、見えにくい眼でものを見る訓練を行います。当院では数ヶ月ごとの定期的な経過観察(視力検査、眼位検査、立体視検査など)を行い、必要に応じて眼鏡度数の変更を行います。乳幼児期の弱視治療眼鏡装用であれば、公的補助が受けられますのでスタッフに相談してください。
【屈折異常弱視】
強度の遠視や近視に対し、真の屈折度数を調べ、適切な眼鏡を装用することです。
【不同視弱視】
眼鏡で矯正することに加え、視力の良い目の目隠しをし、見えにくい眼でものを見る訓練をします。